Hail Satan!日本が世界に誇る至極のサタニック・パワー・メタル・バンド、SATANICAの3rdアルバムが遂に完成!当店でも100枚を超えるベスト・セラーを記録した前作「After Christ, The Devil Comes」から3年、ベーシストの交代を経てリリースした渾身の一枚!「我等はサタンの伝道師」と名付けられた本作を一つの音も漏らさず注意深く聴いたが、やはり彼等は他の数ある日本のバンドとは明らかにそのエクスプレッション(表現)の力が違う。まるで悪魔に取りつかれたかのようなダークで地を這いずるかの如く進行していくパワー・メタル・サウンドは真のへヴィ・メタルとして恐ろしいまでの完成度を築き上げている。アルバム全編に漂うこの暗黒の世界感は既にこのバンドでしか作り出せないと言ってもいいだろう。それは不気味なSEに続くスピーディな正統派へヴィ・メタル・チューンの#2曲目の”Evil Metal”という曲名がこのバンドの音を見事に表現していると言える。”Satan”、”Evil”、”Devil”、この3つのキーワードを不器用なまでに貫き通すその姿勢は正に圧巻、実にクールだ。暗黒と言ってもドゥーム・メタルのそれとは全く異なるものであり、アップ・テンポでスピーディなナンバーが中心となっているというのもこのバンドがマニアに受け入れられている要素の一つである。そうあくまで”正統派へヴィ・メタル”なのである。#2以降も強烈にクールなスピード・チューンの#3、Shee Lipps&Ozzie Alastorの2人のツイン・リード・エンペラーが生み出す流麗なツインG.のハーモニーが暴れまくる#4、へヴィ・メタル然としたギター・リフがゾクゾクさせる#5、アルバム一のスピードで突っ走る#7等とんでもないキラー・チューンが怒涛の如く押し寄せてくるデンジャラスな一枚だ。Jonn Universeのハイ・トーンVo.もより表現力を増し、このバンドが持つカラーに見事に溶け込んでいる。そして何よりバンド・マスター、Ritti Danger氏の壮絶ドラミングがこれでもかと暴れまくっており、以前にも増して手数が多くなってまるでドラムが曲を組み立てているかのような錯覚に陥ってしまう。彼の師匠であるANVILのRobb Reinerの後継者は俺以外にはあり得ないと言わんばかりに荒れ狂うドラミングはとんでもない存在感を持っている。凄い男である。ちなみに彼は今やRobb氏とはメル友の仲になっており、お互いのドラム・セットを見せびらかしっこしたりもしている。愛すべき野郎どもだ。アルバム全体としては分かり易く言えば「Don't Break the Oath」までのMERCYFUL FATE meets ANVIL的な世界観であるが、既に彼等は”SATANICA”というブランドを作ってしまっており、何々タイプとは言えないところにまできている。彼等が生み出すこのへヴィ・メタル以外の何物でもない音に酔いしれるがいい。アルバム一枚全くテンションが下がらず進んで行き、ラストは1st収録のバンドのアンセム的名曲”Razor Holocaust”の再録で締めくくる。完璧な流れだ。いやいや凄い連中である。本物のへヴィ・メタルというものに飢えているならばこのアルバムは一生手放さないものになるであろう。限られた制作費用のもと、これ程までに素晴らしいアルバムを作ってくれた彼等に我々は感謝すべきである。ゲストでこれまた日本屈指のスピード・メタル・バンド、HELLHOUNDのCrossfire氏が2曲で参加。帯付き。自主盤。